INTERVIEW
白紙から創り上げていく
新製品開発の魅力。
2013年新卒入社
理学部化学科卒
入社動機
学生時代は有機半導体材料の候補物質の探索・有機合成・半導体特性の解析などを行っていた。その知識を活かし、開発業務に携われる企業を探していたところ東レプラスチック精工と出会った。
学生時代は有機半導体材料の候補物質の探索・有機合成・半導体特性の解析などを行っていた。その知識を活かし、開発業務に携われる企業を探していたところ東レプラスチック精工と出会った。
はい、その通りです。ただ、当時はまだジョブ型採用は一般的でなく、開発職を希望していても、実際にはどこに配属されるかわからないケースがほとんどでした。ところが、東レプラスチック精工では新規事業部門の募集と明示されており、確実に開発に関われる点が魅力でした。また、勤務先となる三島工場が通勤圏内であることも、私にとっては大きな理由のひとつでした。
募集要項通り、三島工場の新事業開拓室に配属されました。新事業開拓室は、その名が示す通り新事業の起ち上げを目的とする部署です。当時、新事業開拓室では東レの炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂素材の開発が進められており、私もこの新素材のラインアップを揃える役割を担いました。また展示会発表などで、炭素繊維強化樹脂素材の持つ軽量、高強度、高靱性、易加工性といった特長をアピールするほか、提案型のお客様開拓にも従事しました。いわゆる提案型営業です。その後、2020年に現在の押出技術室へ異動となりましたが、開発職という点では同じです。通勤圏内ではなくなってしまいましたが(笑)。
押出技術室は押出成形事業の新製品開発・量産化フォローを担っています。各々が新製品開発について担当テーマを持っており、私の現在の開発テーマは、半導体用途向け素材や環境配慮型素材の開発です。半導体製造では異物混入を防ぐ素材や静電気をため込まない帯電防止素材が求められており、私は新たな帯電防止素材の開発を進めています。素材の抵抗値を抑えれば静電気の発生は抑えられますが、抵抗値が低すぎると今度は過電流により製造装置を痛めてしまいます。添加剤の種類や量を微調整することで、理想的な抵抗値を持つ素材を日々探索しています。環境配慮型素材とは生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックを用いた素材のことで、環境保全が求められる現代において、極めて重要なテーマのひとつであると認識しています。
押出成形品はシート状や棒状といったシンプルな外観・形状をしていますが、実際の生産には実に多くのノウハウが詰まっています。例えば素材を切削加工する場合、外部からの力で変形しないことが重要になります。そこで、当社の押出成形品は内部にかかる応力を低く抑え、高い加工性を実現しているのですが、そこには数えきれぬほどのノウハウや知見の積み重ねが込められています。市場で高いシェアを維持しているのも、東レプラスチック精工の高い技術力が評価され、信頼されている証だと思います。
ある精密機械部品の開発です。営業を通して、あるお客様から依頼をいただいたのですが、そのご要望は、高い寸法安定性に加え、もうひとつの特性を持つ高機能プラスチック素材が欲しいというものでした。詳しく話せないのが残念ですが、もうひとつの特性は寸法安定性とはまったく相反するもので、お客様も「もし、できたら嬉しいなあ」と、東レプラスチック精工の技術力にかけて依頼されたものでした。早速開発に取りかかったものの、最初はトレードオフを解消する手段も道筋も見えず、試行錯誤の日々が続きました。原料・添加剤の選定、生産条件の確立、後加工方法の探索などを進め、ようやく要求特性を満たした開発品を提案できたのは1年後。これまででもっとも苦労した製品開発でした。
新製品開発の面白さは、すべて白紙の状態から創り上げていくことにあります。素材や添加剤の選定や製造条件も、自分で1から考え、工夫し、試していく。もちろん、思い通りの結果が出ないことの方が多いですが、成功を積み重ねて最終製品を生み出したときの達成感は格別です。今後も、これまでの開発で培ってきた技術・知見を活かして、市場のニーズに答える新製品開発を続けていきたいと考えています。高機能プラスチック材料はまだまだ可能性に満ちています。例えばEVが主流になれば、これまで耐熱性の面からエンジン周りには利用できなかった部品がプラスチックに置き換わっていくでしょう。当然、要求品質は高くなり、新たな素材特性も求められるでしょう。未来にどんなチャレンジが待っているのか、とても楽しみです。
プライベートではゲームをして過ごすことが多いです。最近ハマっているのは自由度の高さで高い評価を受けている人気シリーズの最新作。もともと、いろいろ自分で工夫ながら課題を解決していくことが好きなのでしょうね。料理も自炊しているのですが、レシピを参考にアレンジしています。今では四川風麻婆豆腐も調味料で自分好みに味付けしています。